施主直営方式・分離発注方式とは
一般的に設計事務所に設計をご依頼いただいた場合、工事は工務店が一括で請け負い、下請や孫請けの職人が工事をしています。ハウスメーカーも自社で工事部隊は持っていませんので、実際に工事をしているのは下請けのまちの工務店であり、孫請けの職人です。一方、私たちが行っている施主直営方式(分離発注方式)は建て主が各専門工事業者(職人)や材料屋さんと直接契約して家を建てる方式です。基本的にプロジェクトチームは施工管理者の当事務所に任せていただきますが、一部、建て主さまのお知り合いなどでこの施工方法にご理解いただける職人がいらっしゃいましたら推薦していただくことも可能です。大切なことはチームを組む時点で、職人の技術的な面、人間性が保証されていることで、建て主さまと設計事務所、施工チームがお互いを信頼して三位一体となって取り組める関係を作ることです。
よくある質問
Q.素人である建て主が自分で発注などできるのでしょうか?
A.プロジェクトを通して私たちゆずりは設計室が建て主のパートナーとなり取り仕切らせていただきます。工事費の集計や事業費全体を考えた調整は私たちが各職人と行います。
Q.工事期間中、完成後のトラブルが不安です。
A.木造住宅において、大型クレーンが出入りするような特に危険な工程は限られてきます。そのような工程時にはゆずりは設計室の担当者と工事関係者が現場に出て管理することで未然に事故を防いでいます。それでも起こりうる不可抗力による事故には民間保険会社の建設工事保険に加入することで対応しています。(参考:3000万円程度の工事費で保険料10万円程度)
完成後のトラブルについて、分離発注においても一般の住宅同様、住宅瑕疵担保責任保険に加入しております。住宅のトラブルで最も多い「構造上主要な部分」および「雨水の侵入を防止する部分」における損害には10年間の保証がつきます。また、ゆずりは設計室では建築家賠償責任保険に加入しておりますので、設計・監理業務に起因する損害には保険が適用されます。
一部のサイトで「現場で問題がおきた場合、建て主の責任になる」という情報がありますが、分離発注であっても一つ一つの工事は請負契約ですので、そこで発生した問題の責任は請負業者にあります。また、コーディネートをさせていただいている私たちにも責任の一端がありますので全力で問題解決に努めさせていただきます。
ハウスメーカーでも工務店でもリスクは付き物です。いかにリスクを減らすことができるかリスクマネージメントを行っております。
Q.分離発注をすれば安く建てることができますか?
A.同じ仕様で工務店に一括発注した場合に比べると安く家を建てることはできます。ただ、単純に建物価格が安くなる訳ではなく、ゆずりは設計室ではどのような物件であっても予算に合わせた設計を心がけていますので、予算内でワンランク上の家づくりができると考えていただければよいかと思います。例えば、既製品のキッチンをオーダーメイドで住まい手に合った寸法で大工さんに作ってもらったり、壁のクロスを左官仕上げにできたり、構造材をオール国産無垢材にできたり、満足度の高い家づくりが可能になります。
ですから、大量生産の既製品、プリント合板、化学製品を使ってもいいから坪40万円で建てて欲しいというのとはちょっと違います。
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Q.コストは安くなる代わりにかなり手間ではありませんか?
A.管理は任せていただきますが、建て主には主要な工程ごとにできる限り現場に足を運んで、直接工事や材料を確認していただくようにしております。完成後は見えない部分を見ておくことは安心感にもつながるはずです。また、現場で職人と顔を合わせることでお互い面識を深めることができ、職人によい緊張感を持ってもらうことができます。家を永く守っていくには、紙面での保証ではなく、職人とのこういった関係が大切だと考えています。
もうひとつ手間と言えば、それぞれの業者と契約を結ばなければならないこと、支払いの振り込み先が多いことくらいでしょうか。
Q.業者が倒産してしまったりしませんか?
A.分離発注では基本的に出来高払いで前払い金がないため、ある程度の運転資金がない業者には工事に参加いただくことができません。また、倒産でなくても、怪我や病気で仕事が続けられなくなった場合も、未完成部分の工事については当事務所で引継ぎ業者を探し対応させていただくようにしております。その場合の工事遅延が発生するリスクがあることだけはご承知いただく必要がございます。
Q.設計事務所と業者が癒着していることはありませんか?
A.建築業界ではバックマージンというものがあるようですが、当事務所は一切受け取っておりません。厳しい目で現場を見ることが私たちが設計する家のクオリティを上げることにつながると考えていますから、職人とも対等な関係を保つ必要があり、金銭で関係を崩すようなことは致しません。職人とはお互いを認め合い、現場ではそれぞれの立場でプロフェッショナルであることを心がけています。
私たちが工務店ではなく設計事務所を構えている理由は、施工サイドではなく、100%建て主サイドで仕事をすることに魅力を感じているからです。施工者は安く工事を仕上げて儲けを大きくしますが、設計者は報酬は一定で実務においては設計する家の質を上げることに専念することができます。もし、これができなければ設計事務所の存在価値は無くなると思っています。